傾斜地保全研究分野 Slope Conservation Section, Research groupe of geohazards.

寺嶋 智巳Tomomi Terajima


                    

 「傾斜地保全」の本来の科学的意味は、「斜面・傾斜地での物質循環過程を明示した上で、その知識をベースに環境問題の解決や減災に資 すること」であると考えています。すなわち、「傾斜地保全」とは、土砂災害ばかりではなく様々な物質の循環過程における環境変動や環 境影響評価までも包含しているものであり、「斜面崩壊とその対策」だけに集約するという意味ではありません。 このような定義を前提として、私は、室内実験や野外観測を中心に、 「斜面の浸食や崩壊に及ぼす地中水流動の影響(Hydrogeomorphology)」 「水文学と電磁気学の融合による、斜面崩壊の発生時刻を予測するための技術開発(Hydro-electromagnetic interface)」 「流域圏での物質移動に及ぼす腐植物質の影響(Bio-geo-chemical science)」 の3点を主要な研究課題にして取り組んでいます。  
 本分野での研究を行う上で最も重要な点は、自然現象を謙虚にかつ定量的に理解し、客観的に説明することにあると考えています。新たな 発想は実態を深く見つめるところから生まれる、という考え方です。 そのため、  
  @ 研究対象とした自然現象の実態はどうなっているか(現象の把握)  
  A 何故・どのようにしてそうなるのか(メカニズム・プロセスの定量的解明)  
  B 研究成果を社会にどう役立てるか(環境保全に関する基礎情報を社会へ提示)
という思考の流れを大切にしています。











京都大学防災研究所
地盤災害研究部門 
傾斜地保全研究分野

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